スタッドレスタイヤは4本で1セットです。

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すっかり雪景色ですね、ミナヅキです。
安全運転されてますでしょうか。

冬の朝はどうしても車の暖気や玄関先の雪かきをしたりなど、雪がない季節とくらべて慌ただしくなりがちです。
雪道の運転の3か条としてよく言われているのが「1割のスピードダウン・2倍の車間距離・3分早めの出発」ですが、往々にして3分はあって無いようなものなので10分くらい早く出発するくらいの余裕で出かけましょう。

さてそんなわけで、今日は雪道を走行する際に必要な冬タイヤことスタッドレスタイヤの装着に関するお話です。

国土交通省自動車局審査・リコール課。

 国土交通省は、雪道でスタッドレスタイヤ(雪道用タイヤ)を使用する際、4輪すべてに同じ性能のスタッドレスタイヤを装着するよう呼びかけを行っている。

 この呼びかけは、駆動輪にのみスタッドレスタイヤを装着するユーザーに注意を促すもので、4輪に同じ性能のスタッドレスタイヤを装着していない場合は、いつもどおり加速するのに曲がれない・止まれない状態になると、その危険性について触れている。以下は国土交通省が呼びかけるスタッドレスタイヤを使用する際の注意点。

国交省、スタッドレスタイヤを4輪すべてに装着するよう呼びかけ – Car Watch

国内で重大な自動車事故などが連続した場合、国土交通省では実際に状況の再現や分析を行って対策や解決を探っているようです。
それらの結果から運転手などに対し呼びかけや啓発の資料やビデオを公開しています。

Youtubeに国土交通省の公式チャンネルがありまして、そこで動画が公開されています。


国土交通省自動車局審査・リコール課 – YouTube

国土交通省では、リコールの迅速かつ確実な実施のため、皆様からの不具合情報を収集しています。自動車やタイヤ、チャイルドシートに異常を感じられたら、自動車不具合情報ホットラインにご連絡頂きますようお願いします。
国土交通省|自動車のリコール・不具合情報-クルマの異常を連ラクダ!

スタッドレスタイヤ4本必要?

端的に言ってしまえば乾燥路面でも前後でグリップ力が違うタイヤを使用するとその車両に設定されている本来の旋回バランスが崩れます。
未舗装路や積雪路面、凍結路面などではその崩れたバランスがより顕著に、低い速度域でも顔を現すようになります。

一般的に市販されている自動車は、直進安定性を優先し安全に走行できるように旋回性能を抑えた設定になっているとされています。
コーナーでの旋回性、ハンドルの応答性やフロントの入りの速さとストレートでの安定性はトレードオフの関係にあると言われています。
ミニバンや乗用車が公道を走行する場合においては、ドライバーの操作に対して応答性が鋭すぎる設定では運転手の疲労の原因にもなりますし、降雨や凍結などで路面状況が良くない場合においてはスリップやスピンなどを誘発するきっかけにもなりえます。
このようにドライバーに緊張感を強いることなく、ある程度リラックスしてハンドルを握れるように、応答性を抑え、ステアリング操作に余裕が出るようにされています。

市販車は4輪すべてのタイヤが均等な性能で安定するように調整されているということです。

駆動方式とコーナリング特性。

国土交通省の動画の中では駆動方式別に発進/停止およびコーナーでの挙動の違いが紹介されています。
理屈や理論の部分での解説は簡単に行われてはいますが、割と単純な物理で説明できる部分ですし、原理が理解できていて意識することが出来れば雪道での最適な操作への手助けにもなることでしょう。

前輪駆動車(FF)

動画ではホンダのフィットがテストに用いられていますが、おおよそこのクラスのコンパクトカーと呼ばれる車両、ヴィッツやマーチ、デミオ、スイフトなどは前輪駆動です。
(それぞれ4WDの設定もありますけれどもね。)

FF車の特性は前輪が駆動し後輪を引っ張るという動きのために安定性の高い走りになります。
しかし一方でコーナーでは旋回性に劣り、後輪駆動車と比較すると外に膨らむ動きになります。
車体が加速するときには慣性などの作用により、前輪側の荷重が抜け後輪側に集中します。
旋回に必要な前輪を押し付ける力が後輪側に逃げてしまうために旋回性が低くなるという原理で説明されます。

レースゲームや実際のサーキットなどでこの外に膨らむ傾向を解消するには前輪側のグリップを高めるか、後輪側のグリップを落とすという調整を行うことになります。
そのセッティング方法として前後でグリップ力の違うタイヤを装着するという選択肢が出てきます。
後輪がグリップして粘りすぎると向きが変わらないのですよね。
逆に言えば、後輪がある程度逃げるセッティングであれば車体の向きが変わりやすくなります。

動画の中では前輪に雪道でのグリップ性能が確保されているスタッドレスタイヤを、後輪に雪道でのグリップ性能が考慮されていないサマータイヤを装着して走行しています。
結果として、前輪のグリップが高い状態で曲がる力は強くなっているのですが、後輪のグリップ力がまったく足りておらず踏ん張りが効かないために、車体後部が遠心力方向に振り出してしまい、ここから車体全体がコーナーの内側を向いてしまい、そのまま脱輪をしてしまいます。
(「スピンモードに入る」などと表現されますね。結果的にスピンしています。)

後輪駆動車(FR)

こちらはクラウンですね。
昔からレイアウトの都合上、自動車といえば後輪駆動車ばかりだったのですが、今ではこうした一部のセダンやスポーツカーを除いては前輪駆動車ばかりになりました。
クラウンやセドリックをはじめとしてタクシー専用車として販売されているコンフォートなども後輪駆動車です。

テスト車両のクラウンは車重が重く全長も長く出力も高いハイパワーFRとされるクラスなのでフィットと並べると駆動方式のほかにも多少条件は違いますが、街でよく見る車という点では同じかもしれません。
(前述の通り後輪駆動車そのもののラインナップ自体が減っているという側面もありますが…。)

後輪駆動車の基本的な特性としては、駆動輪である後輪が後ろから前輪を押して走行するという部分から、前輪駆動車と比較して旋回性が高くコーナリングがスムーズであるとされます。
前輪駆動車と違う部分として、前輪駆動車は旋回と駆動の仕事を両方共前輪が受け持つのでタイヤのグリップ力が駆動と旋回の両方に割かれます。
これに対し後輪駆動車は前輪が旋回、後輪が駆動とそれぞれに違う仕事を受け持つためにそれぞれ別々にグリップ力を使うことができるのでタイヤが効率的に仕事できる仕組みになっています。

それでは雪道ではどうでしょうか。
動画の中では前輪に雪道でのグリップ性能が考慮されていないサマータイヤ、後輪に雪道でのグリップ性能が確保されているスタッドレスタイヤという組み合わせでテストされています。
結果としては旋回性が高いはずの後輪駆動車が曲がりきれずに外側にコースアウトしています。

原理としては、スタッドレスタイヤによって駆動力が確保されている後輪に、旋回に必要な力を発生させるための前輪が負け、押し出されてしまったためです。
どれだけ本来の旋回性が高くても前後輪でのバランスが崩れているとこのように曲がりきれないという状態に陥るというわけです。

仮に4輪ともスタッドレスタイヤであっても、駆動力がかからない前輪を後ろから押しているという構造上、雪道での後輪駆動車は前輪が抵抗になり後輪側が前輪を軸に左右に振り出すという特性が強く、安定感が低いとされています。
前述の通り、安定感と旋回性はトレードオフの関係でありますが、雪道や未舗装路ではその特性が顕著になる…というのはこういうところでも言えるでしょう。

(実際のところ、雪道でもFRのセドリックを日常的に乗っているミナヅキとしては法定速度の範囲内であれば雑な運転でもしない限りはあんまり大差無いようにも感じるところではありますが…。多少リアが振れるだけです。なんならパワースライドでUターン出来る分夏場より楽かもしれませんw

四輪駆動車(4WD)

動画でのテスト車両ではレガシィが使用されています。
青森県内ではたくさん走っている車種ですね。
それほどスバルAWDのブランド力の高さを感じさせる代表的な車種と言えます。

四輪駆動車の基本的な特性としては前輪も後輪も駆動します。
タイヤが受け持つ仕事がとても多く、旋回の仕事も駆動の仕事もしなければならないために基本的に四輪駆動車の旋回性は二輪駆動車に対し良くないとされています。
(電子制御やトルク配分で4WDのネガティブな部分を消してある車種は増えましたが…。)

雪道や悪路に強いとされている4WDでも、そのおおよその意味は発進能力やスタック脱出能力に優れているという程度の意味合いであって、コーナリング性能が特別優れているという意味や積雪/凍結路面での制動距離が短いということではありません。
勘違いしやすい部分ではあります。
(リアの振り出しに神経質になる必要がないという意味ではFRよりは気が楽ですが…。)

実際に動画の中では4輪すべてサマータイヤのままでも積雪状態の登坂路から難なくスタートしています。
これ、実に怖い話ですよね。
その後に停止のテストがされていますが、そこでは停止に必要な距離がとても長くなるという結果になっています。

おおよそ近年関東圏の降雪時に多い追突パターンがこの4輪駆動車の「発進に難がないのに停止でひどい目に遭う」というテストと同様のものだと言われています。
(フェイルセーフを考えれば、走らないけどよく止まる のほうが理想的でしょう。)

余談

極個人的な話をするようですが、私有車として4WDを乗ったことがないミナヅキとしてはたまに仕事で4WDで雪道を走るとその安定性の高さが逆に怖くあります。
多少路上に雪や氷ででこぼこと荒れていても4輪とも駆動しているので安定した直進性であまり気にせずに乗り越えて走行できます。
FRであれば凹凸にフロントが引っかかってそれが抵抗になりリアを振ったりするなど姿勢を乱す事があります。

逆に言えば、それほど運転技術がなくても4WDでは安心して雪道でも速度が出せるんですよね。
この安心してというのが反面的に怖さをはらんでおりまして、FRやFFであれば挙動を乱す速度でも気にせずに走行出来るので、4WDで挙動を乱したときには二輪駆動に比べ高い速度域での姿勢制御技術、リカバリー技術が必要になります。

そりゃぁそのへんの奥さんがノアやセレナの4WDでトラックやバスをバンバン追い越すわけですよ、雪道で。すごい自信だなぁと思いながら眺めております。
限界が高い故に挙動の乱れから事故にいたる確率は高いんじゃないかと想像します。
二輪駆動で挙動乱れても速度域が高くないのでゆっくり流れてゆっくりリカバリできたり、道路脇に突っ込んでもゆっくり突っ込むために車両搭乗者ともに大きな怪我もなく引っ張り出すだけで済んだりするのですが…。

雪国の4WD信仰のような過信、もう少し見直されるべきではないかなぁと感じます。
二輪駆動ですと、滑ってからの選択肢が四輪駆動車より多少多いんですよね。
割愛しますけれども、アクセルで動くのが2輪というのが自由度の多さだったりします。

青森スバルの知名度はまだ4WDが一般的ではなかった頃にパートタイム4WDであるレオーネのセールスを頑張って官公庁にたくさん納入させた実績と言われています…。

「チェーンは駆動輪に」という常識?

動画の中では駆動輪にタイヤチェーンを巻いた状態でのテストもされていますが、やはりスタッドレスタイヤを駆動輪にのみ装着した場合と同じような結果になっています。

チェーンの使途やチェーンを装着するであろう状況を考えてみるとわかるのですが、シーズン中恒常的に装着したままであるスタッドレスタイヤに比べると、タイヤチェーンは多くの場合はサマータイヤのまま積雪凍結路を走行する必要が発生した場合の応急的な手段となります。

また積雪量が多く、スタックした状態から脱出するために利用されたりもしますが、いずれにしても応急的な方法という部分ではかわりありません。

このように、タイヤチェーンは常用を前提としておらず、装着状態ではチェーンの取扱指示にある速度を守っての走行となります。
あくまでも緊急的な状況を脱するための手段だという認識であるべきでしょう。
タイヤチェーンを装着した状態で長い距離を走る必要性がある場合にはやはり4輪ともにチェーンを装着して前後のバランスを崩さないようにするべきです。

前後ともに同じタイヤを装着しよう。

長々と書いてきましたが、結局のところ動画のテストのように前後でグリップ力が異なるタイヤを装着するということはスピンやコースアウトを誘発する原因になります。
自動車はそのような前後で異なったタイヤを装着する前提では設計されていないのですよね。

まして、自動車をセッティングする人たちが口をそろえて言うことなのですが
「どれだけチューンしても路面と接していて最後に仕事をするのはタイヤでしかない」
という言葉です。

エンジンのパワーを受け止めて加速力につなげるのも、シャーシの剛性で旋回力を路面に伝えるのもすべてタイヤの性能ありきなのです。
そんな4本で1セットのタイヤの性能のバランスを崩すというのは大掛かりなセッティング変更以上に自動車の性質を曲げてしまうということです。

所有者やユーザレベルで銘柄の選定や減り具合、空気圧の管理が出来る部分ではありますが、重要な部品であるという意識での取扱が必要です。
(ピット作業員やってた頃に「これ脱着して」と荷台に冬タイヤを積んできた軽トラのおっちゃん、銘柄が違うどころかタイヤ幅もリム幅もオフセットも違うタイヤかきあつめてきたような4本で驚いた事がありました。知識が無いというのは怖い事ですね。)

応急利用であれば、動画のフィットなら175/70R14で使えるスノーソックスで良さそうだと思いますが。