『リズと青い鳥』感想。

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©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
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最近になってけいおん!TVシリーズ消化中のミナヅキです。
いかがお過ごしでしょうか。

今回は先日の日曜日に観に行ってきた「響け!ユーフォニアム」劇場版三部作の第二弾となる「リズと青い鳥」の感想を書いていってみたいと思います。

前もって書いておきますが、あんまりネタバレがどうとかいうことには配慮しませんし、まして考察記事でもなんでもありません(笑

感想を書くにあたって、事前にインタビュー記事や他サイトの感想記事などにも目を通してみましたが、思ったまま感じたままに書いてみます。

『リズと青い鳥』公式サイト
映画『聲の形』のスタッフが贈る最新作『リズと青い鳥』2018年4月21日ロードショー「切ない真実に、あなたは涙する――」 アニメーション制作:京都アニメーション 監督:山田尚子 脚本:吉田玲子 キャラクターデザイン:西屋太志 音楽:牛尾憲輔 主題歌:「Songbirds」Homecomings

感想文。

上質な百合でした。

とか言ったら真面目に感想を書いている人に刺されそうですが。

えぇとですね、どこから書いたらいいんでしょうか。
まず上映開始30秒くらいで泣きました、正直なところ。
画面や音を含めた、目の前で描かれているものが綺麗すぎて、感動しました。

色合いも音も、濃淡の微妙なさじかげんを大切にした本当に繊細な世界が作り出されていました。
DTMをやっていた人間の感想としては非常にヘッドルームを大切にした作品、というような印象で。

ついでにエンドロールが終わって劇場内が明るくなってからもしばらく立ち上がれない状態でしたし、その後劇場とつながっているショッピングセンター内を歩いていても思い出し泣きが出来てしまうほど琴線に触れまくった作品でした。

本作はアニメーションという表現や手法をとっているわけですが「キャラクターは物語のために存在する」というわけではなく「キャラクターが存在するから物語がある」という見落としがちな部分を丁寧に描いているように感じました。
インタビュー記事などでも触れられていることではありますが、手や足のしぐさ、視線の方向、息遣い、体温…人物というのはそれらがあってこそ喜び、悲しみ、泣いたり怒ったりするわけです。

言葉はひとつ、想いはいくつ。

会話というものは相手への返事として最終的にひとつだけ答えなければいけません。
そのひとつの返事をするまでのほんの一瞬の間にたくさんの事を考え、迷います。

キャラクターのセリフが、声に出して言った言葉が全て本心ではないわけですよね。
当然、そうして口から出た言葉が、相手にとって唯一の事実だったとしても。

誰だってそうした小さなすれ違いの繰り返しの中を生きています。
当たり前なんですが、その幾多の小さなすれ違いが思春期の少女たちを惑わせるわけですね。

この作品の美しさはそのゆらぎ続ける水面のきらめきを丁寧に織り込んで出来上がっているのだと言えるでしょう。
実に繊細でいて透明で。

大きな大きなミスリード。

作品の中核として語られる「リズと青い鳥」という劇中劇、劇中作品。
コンクールで演奏する事となる楽曲でもあるわけですが、この楽曲の元となった童話を手にとって、特に深い意味もなく
「なんだか私達みたいだね」
というようなシーンがありますが、もしかしたらこれが劇中におけるキャラクターを含め観客すべてを巻き込んだとんでもないかん違いを引き起こしているセリフだったのではないかと今にして感じたりもします。

思春期であれば、触れた作品、音楽や映画など、自分と共通する要素やストーリー、心情や心理などをあてはめては「まるで自分の気持ちを代弁してくれているみたい」という感情を持つことが多いのではないかと思います。
(身に覚えが…

ちょうどミナヅキの年代であればそれは音楽的にはBUMP OF CHICKENだったり浜崎あゆみだったりとかしたわけですが、ともに絶大な支持があったように記憶しています。

©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会

そしていたずらにも第三楽章のオーボエとフルートの掛け合いはリズと青い鳥の少女に喩えられるとされるわけです。
この思い込みこそが、二人の少女の関係性に陰りを与えていくことになるわけですが、はたして本当に二人の少女、みぞれと希美はリズと青い鳥の少女だったのでしょうか?

その何気ない「私達みたいだね」という一言がなかったら、二人の関係性はずっとそのままだったのかもしれない…という可能性もありそうです。
(そもそも演奏曲として触れる機会がなければ悩むこともなかったよな、うん

いずれにしてもどちらがリズで、どちらが青い鳥だったか、それを探る必要はおそらくないのだろうなと感じるところです。
だってきっと、お互いが思っている以上に、お互いに依存しあっていたのでしょうから。

みぞれにとっての青い鳥は希美で
希美にとっての青い鳥はみぞれで

2年生との対比。

このシリーズ「響け!ユーフォニアム」では何組かカップリングペアリングとして成立している仲良し組が存在します。

今作では3年になり吹奏楽部を取り仕切る部長となった優子とそれを支える副部長の夏紀。
2年になりのびのびと吹奏楽部生活を送っている葉月と緑輝。

そしてシリーズの主人公組である久美子と麗奈。

2年生組のキャラは本筋とはほとんど絡んできませんが、それでもすでに成立してる夫婦親友としての安定感をそれぞれに見せつけてくれるので、旧来のファンであれば嬉しいシーンだったかもしれません。

みぞれと希美のパートを校舎裏でトランペットとユーフォニアムで演奏する久美子と麗奈。
「気の強そうなリズだな」

このシーンにニヤリとさせらた人は多いのではないでしょうか。

これらの2年生組などの振る舞いが作品全体を大きく包み込むパートのような動きをしているようにも感じられます。
みぞれと希美の心のやりとりは吹奏楽部の演奏としては気にはなるけれども、結局多くの人の日常の中では些細な事なのです。
他人にとっては些細な事、でも自分たちにとっては飲み込むことも吐き出す事も出来ない大きなわだかまり。

それらを暗に裏付けているようでもありました。

気が強いリズってどんな感じでしょうかね。「べ、別にあなたなんかいなくても私ちっとも寂しくないし独りで暮らしていけるわ。いままでそうしてきたんだもの。別に今更」とかそういう…w
麗奈なら「その翼で自由に飛んでいるところがみたいの。貴女はそうあるべきなの。飛び立とうとしないのなら殺すから」ですかねw
それの対しての久美子なら「いいよ。リズがそういうなら、そのときは殺していい」ですか…。
TVシリーズでのやりとりが非常に印象深かった二人ですが、改めて思い返してみるとここのカップルもなかなかクレイジーでサイコですよね、えぇ。

劇伴が良い。

TVシリーズと劇場版作品の大きな違い、特にBGMの面で大きく違うのは劇場版作品はシーンに合わせて一品物をあてがって制作出来るという部分ですよね。

今回の作品ではその強みが存分に生かされており、画面の動き、登場人物の動作に合わせて曲が進行したり、心理的描写を演奏表現で表している部分もあり、よりドラマチックな演出がなされていました。

全体的に音響としては静かな作品なのですが、その邪魔をしないようなBGMが添えられており、作品全体の香り付けに一役、二役くらい買っていたように思います。

演奏シーン。

吹奏楽部としての演奏シーンは90分の中ではほとんど無いのですが、一番の見せ場となるシーン、みぞれの決意を情感たっぷりに描き切っていたと言えるでしょう。
橋本先生がポッカーンとした顔をしていましたが、あれは仕方ない。

演奏が終わったあとに一瞬吹奏楽部員の女子が泣いているシーンが映りますが、それが大げさではないほどの演奏だったと思います。

というか俺は滝先生を観に来たんだ。セリフが少ないぞ!

まぁ演奏シーンはこの際、劇場版第三作目でもっと観る機会があるのかなと期待しつつ…ですね。

総評。

上質な百合でした。

(また言ってる

結局のところ、これって二人の問題なんですよね。
その小さな小さな、指先に刺さったトゲのようなものが、いつまでたっても抜けないなぁ…みたいな。
でも、今はそう感じていても、いつまでもそのままという事は絶対になくて、きっと絶対にいつかは必ず大きな転機が訪れるときがあるわけです。

少なくとも、高校生であれば進学や卒業は必ずあるわけですし、逃れられない転機としてどんな作品でも描かれるわけです。
それまでの生活をどのように過ごして、どんな事があったか…。

きっと、指先の小さなトゲが抜けたその日は、日記帳にこう書くのです。
「トゲがやっと抜けた!」
そんな些細な事が自分にとっての記念日になってしまうことだってあるかもしれません。

「リズと青い鳥」という楽曲を通して気持ちを打ち明けあったみぞれと希美は、より強い「好き」で結び付けられる事となったのでしょう。
たとえそれがちょっとずつずれていたとしても。
たとえそれが傍目から見て何も変わらないように見えたとしても。