運行管理者一般講習に行ってきました。

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国家資格持ちだったりします、ミナヅキです。
運行管理者という、自動車運送に関わる管理者資格なのですが、定期的に講習を受けることが義務付けられています。

そんなわけで10月7日の事になりますが、独立行政法人自動車事故対策機構NASVAが開催している運行管理者一般講習に参加してきました。
やはり話し方が上手な人の講義は聞いていて面白かったです。

独立行政法人自動車事故対策機構 NASVA(交通事故)
独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)のサイト、自動車・チャイルドシートの安全性能評価の情報、運行管理者等指導講習、運転者適性診断による自動車事故の発生防止、介護料の支給、育成資金の貸付、家庭相談など自動車事故被害者や交通遺児への支援等役立つ情報を掲載しています。

独立行政法人自動車事故対策機構 NASVA

どういう講義だったの?

その年度である程度傾向がありますが、今回は
今年1月15日金曜 午前1時59分頃 長野県北佐久郡軽井沢町の国道18号線において発生した貸切バスによるがけ下転落事故
をうけての一般貸切旅客自動車運送事業の規制強化とそれに関連した乗務員の健康管理及び健康状態の把握に関する講義が主でした。

上記の事故は「軽井沢スキーバス転落事故」として呼称されていることが多いですが、最悪な条件がいくつも重なった結果が招いた悲惨な事故でした。

軽井沢スキーバス転落事故 – Wikipedia

日本国内の少子高齢化に伴い、運輸業ドライバーの高齢化も進んでいます。
これに伴って、健康起因事故急増しているという見解をNASVAが出しています。
(健康起因事故:運転者の疾病により事業用自動車の運転を継続できなかったもの)

手元の資料によるとバス・ハイヤー/タクシー・トラックあわせて平成22年で100件だったものが平成23年24年と二年連続で143件発生しています。平成25年で135件ですが、それでもそれ以前と比べると高い状態を維持しているといえます。

講義では取り上げられませんでしたが、今年、2016年2月25日に発生した大阪梅田のプリウス暴走事故も、51歳の運転者の血管破裂が原因だったとされています。

大阪梅田のプリウス暴走事故:運転手の大橋篤さん 運転中に心臓疾患発症で意識失ったか | 林檎舎ニュース
2月25日の午後0時半すぎに大阪・阪急梅田駅前のスクランブル交差点で、奈良県学園大和町の会社経営・大橋篤さんが運転する自動車が暴走し歩行者をはねた事件で、運転中の大橋さんが心臓近くの血管が破裂し意識を失っていたことが事故原因だと明らかに。大橋篤さんのSNSが判明しており、25日にもツイッター上でツイートしていたことが分...

大阪梅田のプリウス暴走事故:運転手の大橋篤さん 運転中に心臓疾患発症で意識失ったか | 林檎舎ニュース

【梅田・車暴走事故】運転中の急病・発作原因の事故、26年209件も…専門家「誰にでも起こる」
大阪・梅田の繁華街で暴走した車を運転していた大橋篤さん(51)は、急性疾患で体調が悪化し、車中で意識を失った可能性がある。運転中に心臓や脳の病気を発症して操縦で…

【梅田・車暴走事故】運転中の急病・発作原因の事故、26年209件も…専門家「誰にでも起こる」 – 産経WEST

こういった背景から自動車運転者の健康管理を再度徹底しようという流れになってきています。
まして事業用自動車運転者は業務の性質上、一般運転者よりも長時間および長距離の運行をすることがままあるので、負担も大きく、急激な体調の変化に至らなくとも疲労の蓄積や睡眠障害などに起因した潜在的疾病の可能性も高い傾向にあるとのことでした。

事故はちょっとしたことで発生する。

事故の発生原因の統計をとると、バス・ハイタク・トラックのそれぞれ上位5件のおおよそ半分以上は「信号無視」や「一時不停止」などの違反や操作ミスではなく「誤認による判断ミス」、つまり「安全不確認」「脇見運転」「動静不注視」によるものが占めるそうです。

基本的なことですが、自動車やバイクなどの運転動作は
「認知」→「判断」→「動作」
の3要素を絶えず繰り返す事の連続です。

最初に示した通り、事故の発生原因の多くはこの認知判断動作のサイクルの中の判断の部分が占めるというわけです。
絶えず変化する交通状況に対し、誤認/判断ミスを行いそれをもとに運転操作をした結果で事故が発生するということですね。

どれだけ車両側の故障率が下がっても、機械的な信頼性の向上、例えば制動距離の短距離化やタイヤグリップの向上、スリップ防止装置の義務化が行われても、最終的にそれを操作するのがドライバー自身である以上、判断ミスによる事故は自動アシストなどで低減させることは出来ますが無くならないと言われています。

ワンポイント:動静不注視と安全府確認の違い

「動静不注視」と「安全不確認」の違いは?
動静不注視と安全不確認の違いは、動静不注視は相手車両の存在を予め認識していたが、相手の動きの判断を見誤り、事故の原因となったもの、安全不確認は十分な安全確認をしなかったため、相手車両を見落としたり、発見が遅れて事故につながったケースをさします。

「動静不注視」とは、相手車両の存在をあらかじめ認識をしていたものの、いまだそれが事故に結びつく具体的な危険はないものと判断して、相手車両の動静の注視を怠った結果、事故にいたったような場合をさします。
 一方、「安全不確認」のほうは、一時停止や徐行をしたものの、十分な安全確認をしなかったため、相手車両を見落としたり、発見が遅れたりした結果、事故にいたったようなケースをさします。
「動静不注視」と「安全不確認」の違いは? – シンク出版株式会社

見えていて安全だと判断したが結果的に事故を起こした」→動静不注視
「危険なものが見当たらないと判断したが結果的に事故を起こした」→安全不確認

だそうです。
これらの違いをきちんと把握しなければ今後の予防対策などが大きく変わるそうですので、この違いは覚えておきましょう。

ドライバーと飲酒。

飲酒運転に関する法律や規制は年々厳しくなっています。
飲酒運転が過失によるものではなく故意の犯罪として明白な行為なので当然と言えます。

しかしこのような背景にあってもなかなか無くならないのが現状でして、NASVAのテキストでは「長年の飲酒習慣」や「酒に甘い地域性・職場の風土」を取り上げています。
講師の説明として
「完全に飲むな、というのは無理ですよね。お酒好きな人であれば好きなことを我慢することですから。じゃぁ、飲んでもいいから就業に影響が出ない程度でコントロールしていきましょうというのが最近の考え方です。」
という事でした。

そこでアルコールの1単位という数字が示されます。


画像引用元 : 神戸で交通安全を願う社労士のブログ : 勉強会

1単位で4時間、2単位で8時間、3単位でおおよそ半日とみることになります。
最近では上記のように「我慢することを強いても飲むんだから、翌日も就業するなら1単位にとどめておきなさい」という考え方を推し進めています。

図の通り、ビールなら500mlが1缶、缶チューハイも350mlで1缶程度です。
寝酒程度と考えて急がず焦らず味わって飲むなどの工夫で満足感を作り出すなどの工夫があってもよさそうですね。
仕事の疲れがあればアルコールのまわりが早かったりするので、私は今のところこの1単位で満足できていますが…

今回の講習では取り上げられませんでしたが、こういう話題も紹介したいと思います。

照射距離と停止距離。

免許証の書き換え時講習での話題でした。

夜間における死亡事故の発生場所の特徴として
市街地の出入り口近く
というのが挙げられていました。

この特徴は、市街地では街灯や店頭の照明・あかりがあるためにすれ違い用前照灯、つまりロービーム走行でも暗いという感覚を忘れて走行しがちで、そのまま街の外に出ようとしたときに歩行者や横断者の発見が遅れて事故が発生しているそうです。

ロービームの照射距離は前方40mと定められています。
この前方40mという距離、実は法定速度に対して最低限度の照射距離でしかありません。

急ブレーキと停止距離 | 安全運転技術向上.info

時速60キロメートルの速さで走る自動車は1秒間に約17メートル進みます。すなわち、時速60キロメートルで走る自動車が急停止するための空走距離は約17メートルとなります。時速60キロメートルで走る自動車が急停止するための制動距離は約20メートルとなります。したがって、時速60キロメートルで走る自動車の停止距離は約37メートルとなります。
急ブレーキと停止距離 | 安全運転技術向上.info 

この「時速60キロメートルで走る自動車の停止距離は約37メートル」は障害物や歩行者を発見した直後に乾燥路面かつタイヤの残り溝に問題がない状態で制動力を最大限に発揮出来た場合での距離です。

つまり夜間で歩行者が暗い服装だったり運転者による発見が遅れた場合、タイヤの摩耗が進んでいたり降雨時または降雨直後の濡れた路面であれば停止距離はもっと長くなります。

資料により数字のバラつきがありまして、こちらでは60km/hで44mになっています。


h26-9annzen_point.pdf

この数字ですと、歩行者がロービームの照射範囲に入ってから急停止に入っても4mほど足りません。
こういった数字の上でも明らかになっている以上、努めてハイビームによる走行を行うこと近年再認識されています。

夜間走行時のヘッドライトはハイビームが基本?|JAFクルマ何でも質問箱
ヘッドライトには、通常、ロービーム、ハイビームが備えられています。道路運送車両法等では、ロービームの正式名称は「すれ違い用前照灯」、ハイビームは「走行用前照灯」とされ、その照射距離は、ロービームは前方40m、ハイビームがその倍以上の前方10...

JAF|クルマ何でも質問箱:ドライブ運転テクニック|夜間走行時のヘッドライトはハイビームが基本?

ドライブレコーダーの映像を用いた研修

一般車両にも普及して久しいドライブレコーダーですが、ここでは県内の大手企業の協力による実際のドライブレコーダーでの映像を視聴しました。

県内の主要国道での事故の動画はとてもリアリティがあり、また日ごろちょっとした気になっている地形的・道路形状的な潜在的危険性を再確認できるものとなっていました。

ハインリッヒの法則(1:29:300の法則)で示されているヒヤリハット、つまり重大な事故1件に対しての軽微な事故29件、事故に至らないがヒヤリハットした事象300件の、事故に至っていない300件が記録されているのがドライブレコーダーの画像という事です。

事故が発生すればその処理などの必要性から報告が必ず上がりますが、ヒヤリハット、飛び出しなどでの急ブレーキなど従来であれば報告されるに至らないような運転動作もドライブレコーダーには記録されていきます。
この蓄積されたデータを分析していくと、運転者固有のクセや道路形状交差点形状による危険ポイントが浮かび上がってくると近年注目されています。

運転データで危険箇所発見 ドライブレコーダーを活用
 オリエンタルコンサルタンツは、千葉県柏市と共同で、公用車にドライブレコーダーを設置して、安全運転教育や道路の危険箇所の発見を可能にする実証実験を2014年11月から開始した。2016年3月末までの約

運転データで危険箇所発見 ドライブレコーダーを活用  :日本経済新聞 

これらは個人ドライバーがドライブレコーダーを装着していてもあまり大きな気づきにはならないかもしれませんが、運送会社などの規模で収集されたデータを解析していくと有意なデータとして浮き彫りになります。

また日本国内の超大手の部内資料としてのドライブレコーダーの画像も会場では流され、実際に夜間横断中のお年寄りと接触事故を起こした瞬間の映像が、音声付きで生々しく記録されているものなどを視聴してきました。
死亡事故の映像でした。
正直なところ何度も見るような映像ではなかったです…

こういうスマートなのがいいですねぇ

数字で見る死亡事故数。

事故件数そのものを見ると平成22年の725,903件に比べて平成26年の573,842件という数字は152,061件と大幅な減少を見せています。
事故件数は年々減少傾向にあるようです。
しかし死亡者数、つまり交通事故から24時間以内に息を引き取った人の人数でみると平成26年で4,113人で平成22年の4,922人と比較すると大幅に減っているという事ではないようです。

講師の方は「これをもっと身近な数字に置き換えると」といい

事故件数573,842は1日あたり1,572件、1時間あたり65.5件、1分あたり1件

と解説していました。
ちなみに死亡者数は年間4113人は11.2人/日、2時間あたりに1人が交通事故により死亡しているとしていました。

なお、事故発生から24時間以降に亡くなった方を含めると交通事故に起因する死亡者数はおおよそ3倍になると言われているそうです。

これらの数字を少なくなったとみるか、まだまだ多いとみるか、というところです。

講義を通して。

運行管理者という役職は、運送業運転業のドライバーの安全を守るためのもので、無理な運行指示を避けそれを改善するように計画の見直しを行い、またドライバーの体調に合わせた指示を行うという仕事がメインです。

プロドライバーによる事故はやはり企業の社会的信用にも関わりますし、バスなどの事故は乗車人数の関係上、悲惨な事故になることがほとんどです。
そういったものを未然に防いでいくための立場が運行管理者であり、そのための定期講習だということです。

業務上必要だから、という意識もありますが、私自身もいちドライバーでありますし、なによりクルマ好きですので、有意義な講義であったと思えます。
次回の講義でのテキストに掲載されている事故件数や死亡事故者数の数字もこのまま右肩下がりで減っている事を願いたいところです。

ストレートな書籍タイトルですね。